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【古文】連用形接続の助動詞をイメージで覚える暗記法と文法解説

連用戦隊レンヨージャーの歌

」がツーと滑って来ると
」がぬうっと現れた。
たり」が歌ったり、踊ったりしていると
けり」が蹴りを入れている。
けむ」は煙幕を張り、けむに巻いた。
たし」が足し算していたら
」がキメ顔で気合を入れた。

つ  ぬ たり けり けむ たし き

連用戦隊レンヨージャーは
連用形接続の助動詞で
古文好きの仲間を増やすため
いつも働く正義の味方
連用戦隊レンヨージャーは人気者

連用形接続の助動詞です。

つ・ぬ・たり・けり・けむ・たし・き

元気なヒーローのイメージで覚えると忘れないよ。








動画を見て、しっかり覚えよう!

連用形接続の助動詞

連用形接続の助動詞について解説します。
直前の活用語は、連用形になります。

助動詞の意味

助動詞には、それぞれ意味があるよ。

 完了 強意 並列 
 完了 強意 並列
たり 存続 完了
けり 伝聞過去 詠嘆
けむ 過去推量 過去の原因推量 過去の伝聞・婉曲
たし 希望
 体験過去

活用を表示する場合、基本形を表示した後、未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形の順番で紹介しています。

つ ▶完了 強意 並列

活用は下二段型です。
 て・て・つ・つる・つれ・てよ
意味は、完了 強意 並列 です。

主体の意図的な動作を表して、他動詞に付くことが多いよ。

完了「~た」「~てしまった」

今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ちいでつるかな

「今すぐ行きます」という言葉を信じて待っているうちに、九月の長い夜の明け方の月が出てしまったことだ。

 副詞
 カ変動詞 未然形 
 助動詞「む」終止形 意志 
 格助詞
言ひ ハ四動詞「言ふ」連用形 いい
 助動詞「き」連体形 過去
ばかり 副助詞
 格助詞
長月 名詞 ながつき
 格助詞
有明 名詞 ありあけ
 格助詞
 名詞
 格助詞
待ちいで ダ下二動詞「待ちいづ」連用形 まちいで
つる 助動詞「」連体形 完了
かな 終助詞 詠嘆

強意「きっと~にちがいない」

「つ」「ぬ」は、後ろに推量や反実仮想の助動詞を伴う時は、強意になります。

てむ なむ つらむ ぬらむ つべし ぬべし てまし なまし

思ひつつ寝ればや人の見えらむ夢と知りせば覚めざらましを

恋しく思いながら眠りについたので、あの人が夢に現れたのだろうか。夢と知っていたのなら目を覚まさなかったのに。

思ひ ハ四動詞「思ふ」連用形 おもい
つつ 接続助詞
寝れ ナ下二動詞「寝」ぬ 已然形 ぬれ
 接続助詞 順接確定条件
 係助詞 疑問 ☆係り結び
 名詞
 格助詞
見え ヤ下二動詞「見ゆ」 連用形
 助動詞「」終止形 強意
らむ 助動詞「らむ」連体形 原因推量 ☆係り結び らん
 名詞
 格助詞
知り ラ四動詞「知る」連用形
 助動詞「き」未然形 過去 またはサ変動詞「す」未然形 
 接続助詞 順接確定条件
覚め マ下二動詞「覚む」未然形
ざら 助動詞「ず」未然形 打消
まし 助動詞「まし」連体形 反実仮想
 接続助詞 または間投助詞 詠嘆

並列「~たり~たりして」

~つ~つの形をとるよ。

僧都、乗つては降り、降りては乗つあらましことをぞし給ひける

平家物語」足摺

僧都は船に乗っては降りたり、降りては乗ったりして、乗って行きたいという様子をなさった。

僧都 名詞「そうづ」鬼界ヵ島に残された俊寛のこと そうず
乗つ ラ四動詞「乗る」連用形「乗り」が音便化したもの のっ
 接続助詞
 格助詞
降り ラ四動詞 連用形
 助動詞「」終止形 並列
降り ラ四動詞「降る」連用形
 接続助詞
 格助詞
乗つ ラ四動詞「乗る」 連用形「乗り」が音便化したもの のっ
 助動詞「」終止形 並列

ぬ ▶完了 強意 並列

活用はナ変型です。
 な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ねよ
意味は、完了 強意 並列 です。

自然的、無意識的な動作を表して、自動詞に付くことが多いよ。

完了「~てしまった」

わたの原八十島かけて漕ぎ出でと人には告げよ海人の釣舟

大海原を島々に向かって漕ぎ出して行ったと都の人には言ってくれないか。漁師の釣舟よ。

わたの原 名詞
十島 名詞 多くの島々 やそしま
かけ カ下二動詞「掛く」連用形
 接続助詞
漕ぎ出で ダ下二動詞「こぎいづ」連用形 こぎいで
 助動詞「」終止形 完了
 格助詞
 名詞
 格助詞
 係助詞
告げよ ガ下二動詞「告ぐ」命令形
海人 名詞 漁師のこと あま
 格助詞
釣舟 名詞 つりぶね

強意「きっと~にちがいない」

「つ」「ぬ」は、てむ なむ つべし ぬべし つらむ ぬらむ てまし なまし の一部になっている時は、強意だったね。

風も吹きべし

土佐日記」船出

風もきっと吹くに違いない。

 名詞
 係助詞
吹き カ四動詞 「吹く」連用形
 助動詞「」終止形 強意
べし 助動詞「べし」終止形 推量

並列「~たり~たりして」


~ぬ~ぬの形をとるよ。

白波の上に漂ひ浮き沈み揺られければ

平家物語」扇の的

扇は白波の上に漂って浮いたり沈んだりしながら揺れていたので

白波 名詞 しらなみ
 格助詞
 名詞「うへ」うえ
 格助詞
浮き カ四動詞 連用形
 助動詞「」終止形 並列
沈み マ四動詞「沈む」しづむ 連用形 しずみ
 助動詞「」終止形 並列
揺ら ラ四動詞「揺らる」未然形
 助動詞「る」連用形 受身
けれ 助動詞「けり」已然形 過去
 接続助詞

たり ▶存続 完了

活用はラ変型です。
たり たら・たり・たり・たる・たれ・たれ

存続「~ている」「~てある」 完了「~た」

紫だちたる雲の細くたなびきたる

枕草子」春はあけぼの

紫がかっている雲が細くたなびいている情景が素晴らしい。

紫だち タ四動詞「紫だつ」連用形
たる 助動詞「たり」連体形 存続または完了
 名詞
 格助詞
細く 形容詞ク「細し」連用形
たなびき カ四動詞「たなびく」 連用形
たる 助動詞「たり」連体形 存続

けり ▶伝聞過去 詠嘆


活用はラ変型です。
けり けら・△・けり・ける・けれ・△

伝聞過去「~た」「~たそうだ」

物語の地の文で使われることが多いよ。

今は昔、竹取の翁といふ者ありけり

竹取物語かぐや姫の生ひ立ち

昔、竹取の翁という人がいたそうだ。

 名詞
 係助詞
 名詞
竹取 名詞
 格助詞
 名詞
 格助詞
いふ ハ四動詞「いふ」連体形 いう
 名詞
あり ラ変動詞「あり」連用形
けり 助動詞「けり」終止形 伝聞過去

詠嘆「~たのだなあ」

和歌、会話文、現在の描写などで使われることが多いよ。

見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける

はるかに見渡すと、薄緑色の柳と薄紅色の桜とが混ざり合って、ほかならぬこの都こそが春の錦の織物であることよ。

見渡せ サ四動詞「見渡す」已然形
 接続助詞 順接確定条件
 名詞
 名詞
 格助詞
こきまぜ ザ下二動詞「こきまず」連用形
 格助詞
 名詞
 係助詞 ☆係り結び
 名詞
 格助詞
 名詞
なり 助動詞「なり」連用形 断定
ける 助動詞「けり」連体形 詠嘆 ☆係り結び

けむ ▶過去推量 過去の原因推量 過去の伝聞・婉曲

活用は四段型です。
けむ △・△・けむ・けむ・けめ・△

過去推量「~た」

いかなる所にかこの木はさぶらひけむ
竹取物語」蓬莱の玉の枝

どんな所にこの木はございましたでしょうか。

いかなる 形容動詞「いかなり」連体形
 名詞
 格助詞
 係助詞 ☆係り結び
 代名詞
 格助詞
 名詞
 格助詞
さぶらひ カ四動詞「さぶらふ」連用形 さぶらい
けむ 助動詞「けむ」連体形 過去伝聞推量 ☆係り結び けん

過去の原因推量「どうして~たのだろう」

あなうらやまし。などか習はざりけむ
徒然草」道に携はる人

ああ、うらやましい。どうして習わなかったのだろうか。

あな 感動詞
うらやまし 形容詞シク 終止形
など 副詞
 係助詞 ☆係り結び
習は ハ四動詞「習ふ」未然形 ならわ
ざり 格助詞「ず」連用形
けむ 助動詞「けむ けん」連体形 過去原因推量 ☆係り結び

過去の伝聞・婉曲「~たとかいう」「~たような」

万葉集」の和歌を紹介します。

あしひきの山の雫に妹待つと我立ち濡れぬ山の雫に

あなたを待っていたら、私は山の雫に濡れてしまったよ。


この歌への返歌が、下の歌です。

吾を待つと君が濡れけむあしひきの山の雫にならましものを

私を待っていたあなたが濡れたという山の雫に私がなれたらよかったのに

 代名詞 
 格助詞
待つ タ四動詞「待つ」終止形
 格助詞
 代名詞
 格助詞 主格
濡れ ラ下二動詞「濡る」連用形
けむ 助動詞「けむ 」連体形 過去伝聞 けん
あしひきの 枕詞 「山」を導く
 名詞
 格助詞
 名詞「しづく」しずく
 格助詞
なら ラ四動詞「なる」未然形
まし 助動詞「まし」連体形 反実仮想
ものを 終助詞 詠嘆

 

たし ▶希望

活用は形容詞型です。
たし たく・たく・たし・たき・たけれ・△ 本活用
たし たから・たかり・△・たかる・△・△ 補助活用

本活用の後には、助動詞が付かないことが多い。
補助活用の後には、助動詞が付く。

希望「~たい」「~てほしい」

家にありたき木は、松、桜
徒然草」家にありたき木は

家にあってほしい木は、松と桜だ。

 名詞
 係助詞
あり ラ変動詞 連用形
たき 助動詞「たし」連体形 希望
 名詞
 係助詞
 名詞
 名詞

き ▶体験過去

活用は特殊型です。
 せ・△・き・し・しか・△

直接体験した過去を表すよ。

体験過去「~た」

めぐり逢ひて見やしれともわかぬまに雲隠れに夜半の月かな

お見かけしたかどうかもよくわからないうちに、もうお帰りになってしまった。夜半の月がすぐに雲に隠れてしまったかのように。

めぐり逢ひ ハ四動詞「めぐり逢ふ」連用形 めぐりあい
 接続助詞
 マ上一動詞「見る」 連用形
 助動詞「」連体形 過去
 係助詞
それ 代名詞
 格助詞
 係助詞
わか カ四動詞「わく」未然形
 助動詞「ず」連体形 打消
 名詞
 格助詞
雲隠れ ラ下二動詞「雲隠る」連用形 くもがくれ
 助動詞「ぬ」連用形 完了
 助動詞「」連体形 過去
夜半 名詞「よは」よわ
 格助詞
 名詞
かな 終助詞 詠嘆

例外 未然形に接続する場合


カ変動詞 サ変動詞に付くときは、未然形に接続します。



変なカサをさした  がミゼン刑事 未然形といっしょにいるよ。

花の色はうつりにけりないたづらに我が身世にふるながめせまに

花の色はあせてしまったことだなあ。私がむなしくこの世で月日を過ごし、物思いにふけっている間に長雨が降り続いて。

 名詞
 格助詞
 名詞
 係助詞
うつり ラ四動詞「移る」連用形
 助動詞「ぬ」連用形 完了
けり 助動詞「けり」終止形 詠嘆
 終助詞 詠嘆
いたづらに 形容動詞ナリ 連用形 いたずらに
 代名詞 
 格助詞
 名詞
 名詞
 格助詞
ふる ハ下二動詞「経る」ラ四動詞「降る」連体形 ◇掛詞
ながめ 名詞 長雨・眺め ◇掛詞
 サ変動詞「す」未然形 
 助動詞「」連体形 過去
 名詞
 格助詞

ありがとうございました。


この記事は、「小説家になろう」に発表したコメディ小説をもとに、文法事項の説明を加筆して掲載しております。無断転載転用を禁じます。