管弦の御遊びが始まって、これもたいそう趣がある。
あそび【遊び】
宴席
管弦の遊び
遊戯
遊女
<名詞>
- 山野での行楽、狩り、酒宴などの楽しみ。
- 詩歌・管弦・舞などの楽しみ。
- 遊戯、娯楽。
- 遊女。
<関連語>
▶
こと【琴】名詞→琴・筝(そう)・和琴(和琴)・琵琶などの弦楽器の総称。
▶ふえ【笛】名詞→①管楽器の総称。②横笛。
▶うた【歌・唄】名詞→①節をつけて歌うものの総称。②和歌の総称。③唐歌の略。漢詩。
▶うたあはせ【歌合はせ】名詞→歌人たちが左右二組に分かれて、歌を詠み優劣を競った平安時代の遊び。菊に歌を添える「菊合はせ」などもあった。
宴席
『万葉集』巻五835
春さらば逢はむと思ひし梅の花今日のあそびにあひ見つるかも
春になったら逢いたいと思っていた梅の花に、今日の 宴席で逢うことができたなあ。
管弦の遊び
『源氏物語』若菜・上
御あそび始まりて、またいとおもしろし。御琴どもは、春宮よりぞ調へさせたまひける。朱雀院よりわたり参れる琵琶、琴。内裏より賜はりたまへる箏の御琴など、皆昔おぼえたるものの音どもにて、めづらしく掻き合はせたまへるに、何の折にも、過ぎにし方の御ありさま、内裏わたりなど思し出でらる。
管弦の御遊びが始まって、これもたいそう趣がある。御琴類は、東宮が御準備あそばされたものである。朱雀院から譲りお受けした琵琶、琴。帝から頂戴いたした箏の御琴など、みな昔を思い出させる音色で、めったになく合奏なさると、どの演奏の時にも、過去のご様子や、宮中での出来事などが自然とお思い出される。
遊戯・娯楽
『徒然草』百三十・物に争はず、おのれをまげて
物に争はず、おのれをまげて人に従がひ、我が身を後にして、人を先にするにはしかず。
よろづのあそびにも、勝負を好む人は、勝ちて興あらんためなり。おのれが芸の勝りたる事をよろこぶ。されば負けて興なく覚ゆべき事、又知られたり。我負けて、人をよろこばしめんと思はば、更にあそびの興なかるべし。人に本意なく思はせて、わが心を慰まん事、徳に背けり。
陸しき中に戯るるも、人をはかりあざむきて、おのれが智のまさりたる事を興とす。これ又、礼にあらず。されば、始め興宴よりおこりて、長き恨みを結ぶ類多し。これみな、争ひを好む失なり。
人に勝らん事を思はば、ただ学問して、その智を人にまさらんと思ふべし。道を学ぶとならば、善にほこらず、輩に争ふべからずといふ事を知るべき故なり。大きなる職をも辞し、利をも捨つるは、ただ学問の力なり。
物事において争わず、自分を曲げて人に従い、自分の身は後にして、人を先にするに越したことはない。
いろいろな遊戯の中でも、勝負事の好きな人は、勝って愉快な気持ちになろうとしてするのである。自分の腕前が勝っていることを喜ぶのだ。そうであれば、負けて面白くないと思う事も、また(あろうと)知られる。自分は負けて、人を喜ばせることを思えば、まるで遊戯の楽しさはないはずである。人に残念に思わせて、自分の心を慰める事は、徳に背いている。
仲の良い関係の中に戯れていても、人をだまして、自分の知恵が勝っている事を喜ぶのである。これもまた、礼儀がなってない。そうであれば、最初は楽しみから始まったことでも、ついには長い恨みを持つようなことは多い。これらはすべて、勝負事を好むことの弊害である。
人に勝ろうと思うなら、ただ学問して、その知恵を人にまさろうと思うべきだ。道を学ぶというなら、自分の長所におごり高ぶらず、仲間と争ってはならないという事を知るべきだからである。
立派な地位や名誉も辞退して、大きな利益をも捨てるのは、ただ学問の力である。
『梁塵秘抄』
あそびをせんとや生まれけむ
戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子供の声聞けば
わが身さへこそ揺るがるれ
遊びをしようと生まれてきたのだろうか。
戯れをしようと生まれてきたのだろうか。
遊んでいる子どもの声を聞くと、私の体まで動き出すよ。
誰かに話したくなる古典知識
『徒然草』百三十・物に争はず、おのれをまげて
学問のすすめ
『徒然草』百三十・ 物に争はず、おのれをまげての「人に勝らん事を思はば、ただ学問して、その智を人にまさらんと思ふべし」人に勝ろうと思うなら、ただ学問して、その知恵を人にまさろうと思うべきだといわれると、「そんなこと、わかってるよ」と言われてしまいそうです。今の時代は、そもそも他人に勝とうとしなくていい時代かもしれません。他人と比べるためではなくて、自分が楽しむために学問を続けていくことができたら、それは最高の贅沢だと思います。
ごあいさつ
ありがとうございました
今回で、最終回です。
皆さま、長い間、本当にありがとうございました。
このブログをはじめたきっかけは、一冊の本との出会いでした。それは、古文でなくて、英語の単語帳です。実は、もともと英語が苦手で、Z会の『速読英単語』のおかげで、なんとか受験レベルに追いついたという経験があります。
古文でも同じようなことができないだろうかと、単語帳を作ろうと思って始めたのが、このブログです。何もわからないところからのスタートでしたが、365という具体的な目標があれば、何とかやり通せるだろうという気持ちで始めました。
初めは、自分でイラストも描こうかと思っていたのですが、あまりの稚拙さに断念。AIのめざましい進展のおかげで、思っていた以上のイラストを生成してくれました。
また、ブログや文献などたくさんの資料を参考にさせていただきました。深く感謝申し上げます。学会に所属していなくても、図書館に探しに行くこともなく、無料で専門家の論文が読める、ありがたい時代になりました。引用したものは、できるだけ出典を明記しましたが、ぜひ、ご自身でも検索してみてください。
読者の皆様の存在は、大きな励みとなりました。おかげさまで、なんとか最後までゴールすることができました。
重ねて深く御礼申し上げます。
本当に古文の世界が楽しめるのは、大人になってからだと思います。受験だけで終わらせてしまうのはもったいないです。これからも古文の世界を楽しんでくださる方がいらっしゃれば、たいへん嬉しく思います。
「遊びをせんとや生まれけむ」学びは最高の遊びです。
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