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【古文】終止形接続の助動詞をパロディで覚える暗記法と文法解説

メリーさんの羊のラムが大きくなった話

メリーさんの羊を知ってるかい?
童謡に歌われているあのメリーさんの羊だよ
英語で子羊のことをラムって言うから
メリーさんの羊は「ラム」て呼ばれていたんだ

やがてラムは大きくなり、メリーさんに言った
「僕は狼を退治しに行きます」
メリーさんは、とても心配したけれど、行かせることにしたよ
だって、いつまでも子羊じゃないもの
こんなにりっぱな羊なら、狼のことをやっつけられるかもしれないと思ったんだ

そして十日ほどたったころ、とうとう狼を退治したらしいという噂を聞いた
羊だって本気になれば狼を退治できるんだ
ラム、恐るべし

この知らせを聞いて、メリーさんは叫んだよ
まじ?」

それで狼はどうなったかって?
終身刑終止形)になったそうだ

パロディで覚える助動詞

    メリーさんの
  羊のラム
 大きくなり狼を
退治したらし
 おそるべし
    まじ
    終止形

めり らむ なり らし べし まじ
終止形接続の助動詞の覚え方をご紹介しました。

パロディで覚えると忘れないね。









動画を見て、しっかり覚えよう!

終止形接続の助動詞

終止形接続の助動詞について解説します。
直前の活用語は、終止形になります。


例外もあります。

ラ変型の活用語には連体形につくよ。


助動詞の意味

助動詞には、意味があるよ。

めり 推定 婉曲
らむ 現在推量 原因推量 婉曲・伝聞
なり 伝聞 推定
らし 根拠のある推定
べし 推量 意志 可能 当然 命令 適当
まじ 打消推量 打消意志 不可能 打消当然 禁止 不適当

活用を表示する場合、基本形を表示した後、未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形の順番で紹介しています。

めり ▶推定 婉曲

活用はラ変型です。
めり △・めり・めり・める・めれ・△
意味は、推定です。

推定「~らしい」「~のように見える」

目に見えているものに対する推定で使われる。視覚的根拠

契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり

藤原基俊

息子の抜擢を約束してくれたのでそれを頼みにしていたのに、残念なことに今年の秋も過ぎていくようだ。

契りおき カ四動詞「契りおく」連用形 ちぎりおき
 助動詞「き」連体形 過去
させも 名詞 差しも草のこと
 格助詞
 名詞 つゆ
 格助詞
 名詞
 助動詞「ぬ」連用形 断定
 接続助詞
あはれ 感動詞 あわれ
今年 名詞
 格助詞
 名詞
 係助詞
いぬ ナ変動詞「いぬ」終止形
めり 助動詞「めり」終止形 推定

解説

息子の律師光覚が維摩会の講師に選ばれないことを嘆いていたら、藤原忠通から心強い歌がもらえて期待していたのに、その願いが叶わなかった時に詠まれました。

なほ頼めしめぢが原のさせも草我が世の中のあらむ限りは

このまま私を頼りにしてくれ。しめじが原のさしも草が燃えるように思い悩むことがあっても、私がこの世にいる限りは。

婉曲「~ようだ」

もののあはれは秋こそ勝れと人ごとに言ふめれ

徒然草」折節の移り変はるこそ

もののあわれは秋が勝っている」と人々は言うようだけれども

もの 名詞
 格助詞
あはれ 名詞 あわれ
 係助詞
 名詞
こそ 係助詞 ☆係り結び
勝れ ラ四動詞「勝る」已然形 ☆係り結び
 格助詞
人ごと 名詞
 格助詞
いふ ハ四動詞「言ふ」終止形 いう
めれ 助動詞「めり」已然形 婉曲
 接続助詞

らむ ▶現在推量 原因推量 婉曲・伝聞

活用は四段型です。
らむ △・△・らむ・らむ・らめ・△
意味は、現在推量 原因推量 婉曲 伝聞です。

現在推量「今頃は~しているだろう」

現在、目に見えていないことを推量するよ。

憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむ

憶良めはもう退散いたしましょう。今ごろ家で子どもが泣いているでしょうし、それにその子の母も私を待っていることでしょう。

憶良ら 固有名詞+接尾語「ら」謙譲 おくらら
 係助詞
 名詞
 係助詞
罷ら ラ四動詞「罷る」未然形 まから
 助動詞「む」終止形 
 名詞
泣く カ四動詞「泣く」終止形
らむ 助動詞「らむ」終止形 現在推量 らん
それ 感動詞
 代名詞
 格助詞
 名詞
 係助詞
 代名詞 
 格助詞
待つ タ四動詞「待つ」終止形
らむ 助動詞「らむ」連体形 現在推量 らん
 終助詞

現在の原因推量「~のだろう」

ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ

日の光が穏やかに降り注いでいる春の日なのに、どうして桜の花は、落ち着きなく散ってしまうのだろうか。

ひさかたの 枕詞 光を導く
 名詞
のどけき 形容詞ク「のどけし」連体形
 名詞
 格助詞
 名詞
 格助詞
しづ心 名詞 しずごころ
なく 形容詞ク「なし」連用形
 名詞
 格助詞
散る ラ四動詞「散る」終止形
らむ 助動詞「らむ」連体形 現在の原因推量 らん

婉曲・伝聞「~ような」「~とかいう」

鳥は異所のものなれど、鸚鵡いとあはれなり。人の言ふらむことをまねぶらむ

枕草子」鳥は

鳥の中では、外国の物ではあるが、オウムがとてもおもしろい。人が言うようなことをまねするとかいうことだよ。

 名詞
 格助詞
異所 名詞 ことところ
 格助詞
もの 名詞
なれ 格助詞
 名詞
鸚鵡 名詞「あうむ」おうむ
いと 副詞
あはれなり 形容動詞「あはれなり」終止形 あわれなり 
 名詞
 格助詞
言ふ ハ四動詞「言ふ」終止形 いう
らむ 助動詞「らむ」連体形 婉曲 らん
こと 名詞
 格助詞
まねぶ バ四動詞「まねぶ」終止形
らむ 助動詞「らむ」連体形 伝聞 らん
 間投助詞

なり ▶伝聞 推定

活用はラ変型です。
なり △・なり・なり・なる・なれ・△
意味は、伝聞 推定です。

伝聞「~そうだ」

我が庵は都の辰巳しかぞ住む世をうぢ山と人は言ふなり

私の庵は都の東南にあって、このように穏やかに暮らしているが、世の中を憂いて宇治山に住んでいると世間の人々は、言っているそうだ。

 代名詞 
 格助詞
 名詞「いほ」いお
 係助詞
 名詞
 格助詞
辰巳 名詞 たつみ
しか 副詞
 係助詞 ☆係り結び
住む マ四動詞「住む」連体形 ☆係り結び
 名詞
 格助詞
うぢ山 固有名詞 宇治山 うじやま
 格助詞
 名詞
 係助詞
言ふ ハ四動詞「言ふ」終止形 いう
なり 助動詞「なり」終止形 伝聞

推定「~らしい」

聞こえてくる音や声から推定で使われる。 聴覚的根拠

聞こえてくる音や声から推定しているんだね。

み吉野の山の秋風さ夜ふけて古里寒く衣うつなり

藤原雅経

吉野の山に秋風が吹いて夜も更けると古都の吉野は寒々しく、衣を打つ砧の音が響くらしい。

み吉野 接頭語「み」+固有名詞 みよしの
 格助詞
 名詞
 格助詞
秋風 名詞
さ夜 接頭語「さ」+名詞 さよ
ふけ カ下二「ふく」連用形
 接続助詞
故郷 名詞 ふるさと
寒く 形容詞ク「寒し」連用形
 名詞
打つ タ四動詞「打つ」終止形
なり 助動詞「なり」終止形 推定

 

らし ▶根拠のある推定

活用は無変化型です。
らし △・△・らし・らし・らし・△
意味は、根拠のある推定です。

根拠のある推定「~らしい」

春過ぎて夏来たるらし白妙の衣干したり天の香久山

春が過ぎて夏が来たらしい。天の香久山に白い衣が干してあるのだから。

 名詞
過ぎ ガ上二動詞 連用形
 接続助詞
 名詞
来たる ラ四動詞「来たる」終止形 きたる
らし 助動詞「らし」終止形 根拠のある推定
白妙 名詞「しろたへ」しろたえ 
 格助詞
 白妙の 衣を導く枕詞  
 名詞
干し サ四動詞「干す」連用形
たり 助動詞「たり」終止形 存続
天の香久山 固有名詞 あまのかぐやま

百人一首では、ちょっと違うよ。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香久山

新古今和歌集」巻三夏

読み方

ハルスギテナツキニケラシシロタエノコロモホスチョーアマノカグヤマ

春が過ぎて夏が来たらしい。夏に白い衣を干すという天の香久山なのだから。

べし ▶推量 意志 可能 当然 命令 適当

活用は形容詞型です。
べし べく・べく・べし・べき・べけれ・△
べし べから・べかり・べし・べかる・べけれ・△
意味は、推量 意志 可能 当然 命令 適当 です。

覚え方は、すいかとめて だよ。



推量 
意志 
可能 
当然 
命令 
適当 

動画を見て、しっかり覚えよう!

推量「~だろう」

潮満ちぬ。風も吹きぬべし

土佐日記」船出

潮が満ちてきた。風もきっと吹くだろう。

 名詞
満ち タ四動詞 連用形
 助動詞「ぬ」連用形 完了
 名詞
 係助詞
吹き カ四動詞 連用形
 助動詞「ぬ」終止形 強意
べし 助動詞「べし」終止形 推量

 

意志「~う」

毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ

徒然草」ある人、弓射ることを習ふに

矢を射る度にただ成功か失敗かを考えることなく、この一本の矢で決めようと思え。

毎度 名詞 まいど
ただ 副詞
得失 名詞 とくしつ
なく 形容詞ク「なし」連用形
 代名詞
 格助詞
一矢 名詞 ひとや
 格助詞
定む マ下二動詞「定む」終止形 さだむ
べし 助動詞「べし」終止形 意志

可能「~できる」

羽なければ空をも飛ぶべからず。竜ならばや雲にも乗らむ。

方丈記」元暦の大地震

羽がないので空を飛ぶこともできない。もし竜であるならば、雲にも乗るのだろうか。

 名詞
なけれ 形容詞ク「なし」已然形 
 接続助詞 
 名詞
 格助詞
 係助詞
飛ぶ バ四動詞「飛ぶ」終止形
べから 助動詞「べし」未然形 可能
 助動詞「ず」終止形 打消
 名詞
なら 助動詞「なり」未然形 断定 
 接続助詞 
 係助詞 ☆係り結び
 名詞
 格助詞
 係助詞
乗ら ラ四動詞「乗る」未然形
 助動詞「む」連体形 推量 ☆係り結び 

当然「~べきだ」「~はずだ」

子となり給ふべき人なめり

竹取物語かぐや姫の生ひ立ち

自分の子になりなさるはずの人であるようだ。

 名詞
 格助詞
なり ラ四動詞「なる」連用形
給ふ ハ四動詞「給ふ」終止形 尊敬の補助動詞 たまう 
べき 助動詞「べし」連体形 当然
 名詞
 助動詞「なり」連体形「なる」の撥音便無表記  
めり 助動詞「めり」終止形 推定
 なめり なんめり 

 

命令「~せよ」

かかる忘れ形見を賜りおき候ひぬる上うへは、ゆめゆめ疎略を存ずまじう候ふ。御疑ひあるべから

平家物語」忠度の都落ち

このような忘れ形見をいただきましたからには、けっして疎かには思わないつもりです。御疑いになってはなりません。

かかる 連体詞
忘れ形見 名詞 忠度の作った和歌
 格助詞
賜りおき カ四動詞「賜りおく」たまはりおく 連用形 たまわりおき
候ひ ハ四補助動詞「候ふ」さうろふ 終止形 丁寧 そうろい

ぬる 助動詞「ぬ」連体詞 完了
うへ 名詞 うえ
 係助詞

ゆめゆめ 副詞 後ろに打消語を伴い「けっして~ない」
疎略 名詞 そらく
 格助詞
存ず サ変動詞「存ず」終止形 ぞんず
まじう 助動詞「まじ」連用形 打消意志 音便化 まじゅう
候ふ ハ四補助動詞「候ふ」さうろふ 終止形 尊敬 そうろう
御疑ひ 名詞 おうたがい
ある ラ四動詞「あり」終止形 
べから 助動詞「べし」未然形 命令
 助動詞「ず」終止形 打消

解説

平忠度が都を離れる時に、藤原俊成に和歌を託したときに、俊成の言った言葉です。俊成は後に「千載集」に「詠み人知らず」として忠則の和歌を載せました。

さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな

さざ波がよせる琵琶湖のそばにある志賀の古都は荒れてしまったが、ながら山の山桜は昔と変わらず美しく咲いていることだ。

 

適当「~のがよい」

家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。

徒然草」家の作りやうは

家の作り方は、夏に適したようにするのがよい。冬はどんな所にも住むことができる。

 名詞
 格助詞
作りやう 名詞 つくりよう
 係助詞
 名詞
 格助詞
むね 名詞
 格助詞
 サ変動詞「す」終止形
べし 助動詞「べし」終止形 適当
 名詞
 係助詞
いかなる 形容動詞「いかなり」連体形
 名詞
 格助詞
 係助詞
住ま マ四動詞「住む」未然形
 助動詞「る」未然形 可能

まじ ▶打消推量 打消意志 不可能 打消当然 禁止 不適当

 

活用は形容詞型です。
まじ まじく・まじく・まじ・まじき・まじけれ・△
まじ まじから・まじかり・まじ・まじかる・まじけれ・△
意味は、打消推量 打消意志 不可能 打消当然 禁止 不適当です。


「べし」の意味が打消しになったと考えると覚えやすいよ。

推量 → 打消推量
意志 → 打消意志
可能 → 不可能
当然 → 打消当然
命令 → 禁止
適当 → 不適当

打消推量「~ないだろう」

冬枯れのけしきこそ秋にはをさをさ劣るまじけれ

冬枯れの景色は、秋にはほとんどひけを取らないだろう。

徒然草」折節の移り変はるこそ

冬枯れ 名詞
 格助詞
けしき 名詞
こそ 係助詞 ☆係り結び 
 名詞
 係助詞
 接続助詞
をさをさ 副詞 おさおさ
劣る ラ四動詞「劣る」終止形
まじけれ 助動詞「まじ」已然形 打消推量 ☆係り結び

 

打消意志「~まい」「~ないつもりだ」

我が身は女なりとも、敵の手にはかかるまじ

平家物語」壇の浦

我が身は女であっても、敵の手にはかからないつもりだ。

 代名詞 安徳天皇の母、平時子 
 格助詞
 名詞
 係助詞
 名詞「をうな」おうな
なり 助動詞「なり」終止形 断定
とも 接続助詞
 名詞 かたき
 格助詞
 名詞
 格助詞
 係助詞
かかる ラ四動詞「かかる」終止形
まじ 助動詞「まじ」終止形 打消意志

不可能「~できないだろう」「~できそうもない」

今宵はえ参るまじ

枕草子」すさまじきもの

今夜は、どうしても帰れそうにありません。

え~まじ は、不可能でよく使われる表現だよ。

今夜 名詞
 係助詞
 副詞
参る ラ四動詞「参る」終止形
まじ 助動詞「まじ」終止形 不可能

打消当然「~はずがない」「~べきでない」

いとあるまじきことなり。よし、こと時は知らず。今宵は詠め。

枕草子」五月の御精進のほど

とてもあるはずのないことです。まあいいから、他の時は知らないが、今夜は歌を詠め。

清少納言は、中宮定子に頼んで、人前で和歌を詠まなくていいようにしてもらっていたんだよ。

いと 副詞
ある ラ変動詞「あり」連体形
まじき 助動詞「まじ」連体形 打消当然
こと 名詞
なり 助動詞「なり」終止形 断定
よし 副詞 
こと時 名詞
 係助詞
知ら ラ四動詞「知る」未然形
 助動詞「ず」終止形 打消
今宵 名詞「こよひ」こよい
 係助詞
詠め マ四動詞「詠む」命令形

ラ変動詞の後なので、連体形につくよ。

禁止「~してはならない」

かひつくろい、二人の童より他にはすべて入るまじと戸を押さえて面にくきまで言へば

枕草子」内裏は五節の頃こそ

介添え役の女房と二人の童女の他はどなたも入ってはならないと、戸を押さえて憎らしいような顔つきで言うので

かひつくろい 名詞 そばで世話をする人 かいつくろい
二人 名詞
 格助詞
 名詞「わらは」わらわ
より 格助詞
 名詞
 係助詞
 係助詞
すべて 名詞
入る ラ四動詞「入る」終止形
まじ 助動詞「まじ」終止形 禁止

不適当「~しないほうがよい」

妻といふものこそ男の持つまじきものなれ

徒然草」妻といふものこそ

妻というものは、男が持たないほうがよいものである。

 名詞 
 格助詞
いふ ハ四動詞「いふ」連体形
もの 名詞
こそ 係助詞 ☆係り結び
 名詞
 格助詞
持つ タ四動詞「持つ」終止形
まじき 助動詞「まじ」連体形 不適当 
もの 名詞
なれ 助動詞「なり」已然形 断定 ☆係り結び

ありがとうございました。


この記事は、「小説家になろう」に発表したコメディ小説をもとに、文法事項の説明を加筆して掲載しております。無断転載転用を禁じます。